とはいえ、今回の滞在も長いものではなく、夕刻前には既に岡山を発っていました。また、朝の徳島より岡山までの電車内においては、ほぼ寝入っていたことから、外の景色を意識して見ることはありませんでしたが、帰りの社内では、車窓から見える瀬戸内の美しい景色、そして治承・寿永の乱(源平合戦)の屋島の戦いにて有名な屋島を見ることが出来ました。
徳島県の北部に位置する香川県は、その景観も徳島とは異なり、何と云いますか、より瀬戸内色が強く、険しい山も特に見受けられず、自然も全般的に穏やかであるように感じられました。徳島県は、紀伊水道を挟んで向かいに和歌山県がありますが、その隔てる距離は、香川県と瀬戸内海を挟んだ岡山県よりもはるかに長く、外海的な様相が強いと云え、また、淡路島(阿波路島)を介して接する徳島県と兵庫県あたりの地域の様相・景観もまた、さきと同様、異なるように感じられます。
あるいは、表現を変えてみますと、徳島県は県北東部にある淡路島の存在により、瀬戸内海世界より隔離され、他方でその淡路島を介して比較的容易に行き来することの出来る兵庫そして、そこから東に続く近畿・関西圏に対して、より文化全般における連続性・親和性を見出すことが出来るようになったのではないでしょうか?
とはいえ、徳島県は近畿・関西圏とは陸続きではないことから、古からの文化の流入などは陸続きと比較すれば限られたものであり、あるいは瀬戸内文化圏が相対的に強かった時代・時期では、そちらからの文化が香川県方面より多く・盛んに徳島に流入し、そして近畿・関西文化圏が強かった時代・時期においては、その文化がより多く流入してきたのではないかと考えます。
そして、こうしたことは、弥生時代の祭器、銅鐸の出土状況、あるいは古墳時代における古墳造営様式などにおいて、香川県地域およびそこに連なる岡山県地域からの連続性が強いか、あるいは淡路島そして、そこに連なる兵庫県地域からのそれが強いかを考察することにより、より精確に理解することが出来るのではないかと思われます。
また、おそらくこうした研究は既に為されていると思われますが、それでも、予め、こうした図式・枠組みのようなものを想定しておくことは、少なくとも全く無益ではないと思われますが、さて如何でしょうか?
今回もここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。
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ISBN978-4-263-46420-5
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