さきの記事においても述べたが現今、我が国の歯科医療業界は大きな転換期にある。
一方、歯科治療を受ける側からの視点となると、社会・時代状況などの影響による新たな、あるいは特殊な症例が増加するといったこともあるのだろうが、基本的には歯科治療を要する多くの症例とは、そこまで大きくは変化していないと云えるだろう。
もとい、そうであっても治療を要する患者さん口腔内の様相・形態とは個人により異なり、そのことから、さまざまな補綴物を作製する際に、一つ一つ手作業にて、まさにオーダーメイドにて作製されてきた。
これをさらに異言すると、工業的な同一形状の大量生産品によって充てることが不可能といった事情から、これまで当ブログにて幾度か扱ってきた合金の鋳造、陶材の成形・焼成といった淵源を辿ると我々人類がはるか古代より用いてきた手法と原理的に同一のものにて口腔内補綴物の作製が歯科医師および歯科技工士の手により為されてきたと云うことになる。
さて、我が国にて歯科治療を行う場合、口腔内の治療行為およびその治療計画を立てることが出来るのは歯科医師のみであるが、この歯科医師が立てた治療計画に基づき患者さん口腔内の虫歯(う蝕)部位を除去および必要な処置をし、そして金歯・銀歯あるいは(固定式)部分入れ歯などが装着し易いように形成し、その状態の口腔内様相・形態を記録するために印象採得が行われる。
そして、この印象採得にて治療部位の形成が為された口腔内の陰型が得られるのであるが、次にこの陰型に石膏を流し込み、硬化させ、そこではじめて口腔内様相・形態を再現した石膏模型として移し替えることが出来るのである。
さらにここから、得られた模型に基づき金歯・銀歯・(固定式)部分入れ歯などの設計が為され、主に鋳造操作により所望の補綴物形態を得ることになるのだが、この間にわずかな操作ミスが一つでもあれば、それはまた最初から行わなければならない。
つまり、こうした一連の補綴物作製から患者さん口腔内への装着に至るまでの過程とは、アナログであり複雑且つ専門的な技工作業によりはじめて成立し得るものである(あった)と云える。
しかしながら昨今、かねてよりのパソコンの進化発展・普及によるデジタル化の進行により、補綴物の作製工程もまたデジタル化されつつあり、現在我が国の歯科医療機関とは、このデジタル化への対応を余儀なくされているといって良いと思われる。
とはいえ、聞くところによると、こうした技術の転換期の直面およびその対応とは歯科医療業界のみならず、さまざまな業界においてもまた同様とのことであり、ここで、効果的な成長戦略を見出すことが出来るか否かとは、かなり大きな分水嶺となるのではないかと考えられ、自身としては今後も引き続きその動向・推移を見守り続けたいと考える。
ともあれ今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。
昨年から現在までに列島各地にて発生した一連の地震・大雨・水害等の大規模自然災害によって被災された諸地域のインフラの復旧・回復および復興を祈念しています。
昨今より再び噴火をはじめた新燃岳周辺の方々の御無事をも祈念しています。
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