この作品は以前から話題になっていたものと聞かされ、本日書店にて立ち読みしてみたところ、たしかに面白いと思われたため、購入に至った次第ですが、この作品の面白さとは、これまでに読んだ小説のなかでも特異なものであり、また大変読み易いため、読後3時間程度にて200頁ほどまで読み進むことが出来ました。
とはいえ、そのためか、アタマの中は未だボーッとし、意識の半分程度は作品のなかにあり、正直なところ、本日はブログ記事の作成を止め、この作品を読むことに集中してみようかとも思いましたが、同時に、その作中に描かれている『何かを継続することの大事さ』といった意識が励起され、本日分の記事作成を開始した次第です・・(苦笑)。
この作品を読んでいて思い出すことは、自身もかつて部活動にドップリ浸かっていたことです・・。
また、この時期の記憶とは現在となっては、随分と縁遠いものとなっていたと感じておりましたが、やはり、そうした記憶とは、失われるものではなく、何らかの契機、刺激により、思い出すことが出来るようです・・。
そこから、小説をも含め文章を読むということには、その内容を感じつつ【自然に】記憶するのと同時に、自身の記憶に対し刺激を与え、想起の契機を与えるといったデュアルな意味合いがあると云えます・・。
また、勉強や研究などの本質もそうしたところにあるものと考えます。
それ故に、そうした行為とは継続が大事であり、また、ある程度継続して行っておりますと、何と云いますか、それが自転するようになり、あまり痛痒を感じずに、そうした行為をすることが可能になってくるのではないかと思われます・・。
そして、我々の社会において一般的に『本を読みなさい』と云われるその主たる理由とは、あまり明確に語られることはありませんが、こうしたところにあるものと考えます。
とはいえ、本を読むという習慣とは、本来、徐徐にそして能動的に得ていく、あるいは身体化されるものであり、決して人に云われたり、指図されたり、もしくは功利的な目的によって得られる、身体化されるようなものではないと考えます・・【このことも部活動に類似しているかもしれない】。
また、近代以降より現代に至る我が国において、さきに挙げた読書と同様『良い』とされる、さまざまな行為の根本における価値や意味といったものとは、どうも【浸透し易く、分かり易くするためか?】『経済功利的な目的一色』にて染め上げてしまっているようにも思えるのです・・【そうした目的によるものは厳密には能動性に基づくとは云えないと考えます・・】。
そして、これはおそらく現代においても高く評価されている明治日本において脱亜論および学問、特に実学の重要性を説いた思想家、教育家の考えに則していると思われがちですが、おそらくそれは間違いです・・。
さて、そこで以下に書籍からの抜粋引用を示します。
慶應義塾大学出版会刊 福澤諭吉著 「文明論之概略」pp.74-75
ISBN-10: 4766416244
ISBN-13: 978-4766416244
『又英国の学士「ミル」氏著述の経済書に云く、或人の説に、人類の目的は唯進で取るに在り、足以て踏み手以て推し、互に踵を接して先を争うべし、是即ち生産進歩のために最も願うべき有様なりとて、唯利是争うを以て人間最上の約束と思う者なきに非ざれども、余が所見にては甚だこれを悦ばず、方今世界中にてこの有様を事実に写出したる処は亜米利加の合衆国なり。「コウカス」人種の男子相合し、不正不公の羈軛を脱して別に一世界を開き、人口繁殖せざるに非ず、財用富饒ならざるに非ず、土地も亦広くして耕すに余あり、自主事由の権は普く行われて国民又貧の何物たるを知らず、斯かる至善至美の便宜を得ると雖も、その一般の風俗に顕れたる成跡を見れば亦怪しむべし、全国の男児は終歳馳駆して金円を遂い、全国の婦人は終身孜々としてこの遂円の男児を生殖するのみ、これを人間交際の至善と云わんか、余はこれを信ぜずと。
以上「ミル」氏の説を見ても亦以て合衆国の風俗に就き其の一班を窺知るに足るべし。
右所論に由て之を観れば、立君の政治必ずしも良ならず、合衆の政治必ずしも便ならず。
政治の名を何と名るも必竟人間交際中の一箇条たるに過ぎざれば、僅かにその一箇条の体裁を見て文明の本旨を判断すべからず。
その体裁果して不便利ならば之を改るも可なり、或は事実に妨なくば之を改めざるも可なり。
人間の目的は唯文明に達するの一事あるのみ。
之に達せんとするには様々の方便なかるべからず。
随て之を試み随て之を改め、千百の試験を経てその際に多少の進歩を為すものなれば、人の思想は一方に偏すべからず。』
今回も、ここまで興味を持って読んで頂いた皆さま、どうもありがとうございます。
昨年に熊本、山陰東部、福島県周辺において発生した地震によって被災された地域の出来るだけ早期の諸インフラの復旧、そして、その後の復興を祈念しております。」
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