ともあれ、こうした事情から昨日は書棚にある既に読んだ書籍の中で、面白そうなものを取り出し、あらためて読んでいる次第ですが、その取り出した著作が森浩一による「日本の遺跡発掘物語〈7〉古墳時代Ⅲ」であり、読み始めてみますと、かつて読んだはずではあるのですが面白く感じられ、そして読み進めるにつれて、また新たな疑問なども生じてきます・・。
これは個人的な感覚であるかもしれませんが、蝉の鳴き声がわずかに聞こえる環境にて我が国の古代史、考古学関連の著作を読むことは、古代以来、おそらく変わっていないであろう周囲の音、環境音の中という意味で、悪くない組み合わせであると感じられ、さらに進んでは、相応しいようにも思われてきます・・(笑)。
さて、当著作を読んでいますと、そこに福岡県の竹原古墳の壁画についての記述がありました。その記述を読み、さらに以前に読んだ金関丈夫著「発掘から推理する」内の同古墳壁画についての言及を思い出し、この著作を取り出し、読み始めてみますと、その次は両著にて言及されている竹原古墳の壁画詳細を確かめたくなり、インターネットにて画像検索をかけ、さらには平凡社刊の別冊太陽「古代九州」を取り出し頁を開いてみましたが、そうしたことをしているうちに、時間が経っていることを忘れている自分に不図、気が付かされます・・(笑)。
装飾古墳と一言で表現しても、壁画(単色・多彩色)が描かれているもの、彫刻(線刻・浮彫)されているものなど一様ではなく、また、そのデザイン(意匠)もいくつかの共通する要素がありながらも多様と云えます。そして、それら装飾意匠の背景にある当時の人々の考え、思想を、それら壁画、彫刻などをボンヤリと眺めながら考えてみる行為には、あまり学問的な緊張感はありませんが、それと同時に歴史を学ぶ上で、書籍を読み、現地に赴くのと同程度に大事な何かがあるように思われるのです・・。
私見ではありますが、その漫然と眺める行為の中で、我々は、その眺める対象物と、眺める主体である自分との間に存在する千年以上の時間を越えようと試みているのではないかと考えます。
この時間を越えようとする試みには、もちろん、書籍等から得た知識も重要ではあるのですが、それ以上に、生身の自分の感覚で、その対象物に対峙することが重要があると思われます。また、それは対象物内に自分のアイデンティティと重なる要素が何かしらある場合であれば、尚更であるように思われます。
ともあれ、そうした視座から、昨今の我が国の歴史を扱った映画、マンガなどを考えてみますと、さきに述べました「生身の自分の感覚で、その対象物に対峙する」は十ニ分に為されているように感じられ、また、そこで得られた感覚から、さらなる(二次的な)創造も多く為されているように見受けられます。しかしながら、もう一方の「書籍から得た知識」については、それを基として対象物に対して生じる、ある程度体系化された考え、思想といった、いわば「その対象物に対しての見解」を作中にて見聞きしみますと、どうもその要素が著しく乏しいように思われるのです・・。
こうしたことは、必ずしも全てに適応するとは思えませんが、同時に、他の多くのことにも応用可能と思われます。つまり、何かを述べる際、その周辺知識、背景などを書籍等を通じ、知っておくことは重要と云えます。しかし他方で、そうしたことを前面に出してアピールすることを差し控えるような文化を持つ(我が国のような)社会では、時間が経つにつれ、この「書籍から得た知識」が形式知、定型句のようなものになってしまい、本来その文章、そして、それに含まれる知見が持っていた意味合い、強さのようなものを減衰させてしまうのではないかと思われるのです。
そして、こうした文化全般を速やかにマンネリ化させるような状況を常態化させないために重要なことは、各個人が「書籍から得た知識」を処理する対象として取組むのではなく、能動的に「書籍から得た知識」に取組み、展開することが出来る分野を(これまた能動的に)見つけ、その分野での仕事に従事することであるように思います・・。また、その意味でベルーフ(Beruf)・コーリング(Calling)といったキリスト教文化圏での「天職」の意味を持つ言葉の意味合いは、社会の持続的な発展のためには、思いのほかに重要であるように思われるのですが、さて、いかがでしょうか・・。
今回もここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。
日本福祉大学
オープンキャンパス
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祝新版発行決定!
ISBN978-4-263-46420-5
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前掲書籍の主著者である師匠による歯科材料全般あるいは、いくつかの歯科材料に関しての勉強会・講演会の開催を検討されていましたら、ご相談承ります。師匠はこれまで長年、大学歯学部・歯科衛生・歯科技工専門学校にて教鞭を執られた経験から、さまざまなご要望に対応させて頂くことが可能です。
上記以外、他分野での研究室・法人・院内等の勉強会・特別講義のご相談も承ります
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conrad19762013@gmail.com
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