ある二種類の純金属に熱を加え、それぞれの溶融点以上にまで達し、坩堝の中にて溶け、混ざり合ったものが冷却されると、ある温度幅(固相点)にて凝固する。
そして、この凝固した状態においてもなお双方の金属が分離せず、混ざり合った状態であることを固溶体の合金と云う。
また、固溶体とは混ざり合う金属原子の大きさにより、さきに触れたが置換型、侵入型として分類される。
置換型とは固溶体構成金属各々の原子の大きさがあまり変わらない場合における合金であり、侵入型とは構成金属原子の大きさが大きく異なる場合の合金であると云える。
ほとんどの歯科用貴金属合金とは、前者の金属原子の大きさがあまり変わらない置換型であり、この場合、さきに述べたように各々の金属原子が互いに混ざり合っているのだが、その各々の金属原子の混ざり方、並び方が不規則である場合と交互に規則的に並んでいる場合があり、前者の並び方を不規則格子と云い、後者の並び方を規則格子と云う。
加えて合金とは、構成金属原子の偏り(偏析)が可及的に小さい方が機械的強度およびその他諸性質が優れていると云える。
とはいえ、実際の合金を用いた鋳造操作により、鋳上がった当初の補綴物とは、合金が溶けている液相状態から固相状態の固溶体に至るまでの凝固の過程において、合金構成金属の融点の相違、その他により多くの場合、金属原子の偏り(偏析)が生じる。
そして、この偏析を除去する操作が軟化熱処理(容体化処理)であり、歯科にて多く用いる貴金属合金の場合、700℃程度まで加熱した後、急冷する操作である
(*鋼でこの操作(赤熱~急冷)を行うと硬化熱処理となる)。
この軟化熱処理(容体化処理)を行うことにより、合金の機械的強さ、硬さなどは一時的に落ちるもののさきの金属原子の偏り(偏析)は解消される。
とはいえ、この状態においては各々金属原子の並び方は不規則であり、ここからさらに補綴物に対し機械的強度の向上を試みる操作が硬化熱処理であり、歯科にて多く用いる貴金属合金の場合、450℃程度まで炉内にて加熱し、15~30分間かけて250℃まで温度を下げ、そこから徐冷する操作である。
この硬化熱処理の操作により合金中の金属原子は規則格子を形成し、機械的強さの向上を図ることが出来る。
とはいえ、さきに述べた金合金の場合、これら熱処理に対応可能なものはタイプⅠ、Ⅱ以外の金合金であり、これはある程度の銅の添加量がないと金と銅の規則格子が形成されないことに因る。
今回もまた、ここまで読んで頂き、どうもありがとうございます。
昨年より現在までに日本列島にて発生した一連の地震・大雨・水害等の大規模自然災害によって被害を被った諸地域のインフラの復旧・回復および復興を祈念しています。
再び噴火をはじめた新燃岳周辺の方々の御無事も祈念しています。
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