2018年1月25日木曜日

20180125 コバルトクロム合金について

コバルトクロム合金は歯科医療においては主に義歯床の材料として用いられてきた。
また、以前にも少し触れたが医科領域においては整形外科分野での人工股関節のステム材料として用いられてきた。
合金主成分は名称が示すとおりコバルトであり、種別により異なるが概ね45~65%程度であり、次いでこれも名称が示すようにクロムであり、概ね20~35%添加されている。
ほかにはタングステン・金属チタン・鉄といった成分が微量添加されている。
これらのなかで重要な働きをする成分がクロムであり、この金属元素がある程度添加されていることにより、合金表面に酸化クロムの緻密な膜が形成され、これが合金の酸化・イオン化を防ぎ、ひいては合金の生体内での為害性を少ないものとしている。
あるいはこれを異言すると、合金表面一層が酸化安定状態である石・セラミックスなどと同様の性質を有することから、その生態適合性を良好なものとしているとも云える。
また、このことは、他の生体材料として用いられる卑金属を主成分とした多くの合金・金属材料においても同様の傾向があると云える。
具体例としてインプラント治療にて顎骨に植立するフィクスチャー(歯根部)材料にてチタンが一般的に用いられているが、チタンもまた表面に酸化膜を持つことにより、良好な生態適合性を持つとされている。
さて、コバルトクロム合金に戻り、この合金はさきに述べた利点のみでなく、一方で広汎な使用を困難にする性質をも持っている。
それは、硬いことから(手)研磨が困難であることが先ず挙げられる。そこから、コバルトクロム合金による補綴物の研磨とは、バレル研磨や電解研磨といったあまり一般的とは云えない手法が用いられる。
くわえて、その液相点が1300~1400℃と高温であり、さらにその鋳造収縮率も約2%と大きいことから、我が国にて汎用される歯科用合金である金銀パラジウム合金による補綴物作製に用いる機材・材料をそのまま流用することが困難であり、その溶解においても圧縮空気を用いるバーナーでは不可能と云える。
また、適切な鋳造体を得るための埋没材もまた、さきの金銀パラジウム合金に用いるクリストバライト埋没材(石英系)では、鋳造収縮率を相殺するための埋没材の熱膨張率が異なり、さらには高温となっているコバルトクロムの溶湯に耐える機械的強度を持たないことから、より緻密(通気性が良くない)で熱膨張率が大きく、高温に耐え得る埋没材としてリン酸塩系埋没材が用いられる。
ともあれ、以上のことからコバルトクロム合金とは優れた点を持ちながらも、金銀パラジウム合金に代わり得る汎用歯科用合金とは見做されていないと云える。
しかしその一方で、近年においてはCAD/CAM加工技術あるいは3ーDプリンターなどと同様の原理にて、コバルトクロム合金による補綴物を作製していく技術(SLMなど)が進化発展つつあり、今後、我が国の歯科医療分野においても、より広汎に用いられることになるのではないかと考えられる。

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